江戸切子|歴史・特徴を徹底解説
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江戸切子のグラスは、お祝いのプレゼントや、自分へのご褒美にも大変人気です。
江戸切子には文様の種類や色も多種多様で、どれを選んだらよいか分からない方もいるのでは無いでしょうか?
この記事では、江戸切子の歴史や特徴に加え、普段の取り扱い方も知ることができます。
是非、プレゼントやご自身にぴったりなグラス選びの参考にしてください。
目次
江戸切子とは、江戸(東京都)で生産されている、切子加工(硝子の表面を削る技法)がされたガラス製品のことを言います。
2002年に伝統的工芸品として、経済産業大臣に指定されています。
江戸切子は、江戸時代後期1834年(天保5年)に、江戸大伝馬町のビードロ問屋の加賀屋久兵衛が、海外のガラス製品に金剛砂(こんごうしゃ)を使って切子細工をはじめたのが始まりと言われています。
1873年(明治6年)には、日本初のガラス工場である「品川興業社硝子製造所」が開設されました。
1876年に工場は官営の「品川硝子製造所」 となります。
1881年にイギリス人のカットグラス技工・エマヌエル・ホープトマンにより最先端のガラスのカット技術が導入され、現在の江戸切子に繋がる技術へと発展を遂げます。
江戸切子はガラスの表面に切り込みを入れることで、光の反射が生まれとても美しい文様が現れます。
伝統的な文様には、魚卵の連なりに似ている「魚子(ななこ)」や矢のように降る雨の様な「矢来紋」、「底菊紋」、「市松紋」など20種類以上あります。
近年では様々な文様を組み合わせた、光の芸術品と思えるような江戸切子も多く作られています。
江戸切子にならび有名な切子に、薩摩切子があります。
薩摩切子はガラスが厚めで重厚感があり、直線的なデザインをしています。
また、色は、深く切り込みを入れることで生じる、柔らかいグラデーションとなっているのが特徴的です。
江戸切子でポピュラーな色は、青系の「瑠璃色」と、赤系の「赤金」の2色です。
ペアグラスとしてもこの色の組み合わせが人気です。
それでは、それぞれの色についてご紹介します。
青系の瑠璃色は男性向けとして人気で、伝統的な色となっています。
薄い色の青もありますが、一番人気は瑠璃色です。
瑠璃色と琥珀色がグラデーションになっているロックグラスは渋く大人の雰囲気が漂っており、こちらも人気の組み合わせ色となっています。
女性に人気なのは赤色です。この赤系統には、大きく2種類あります。
・銅赤(どうあか):濃い赤
・金赤(きんあか):ピンクっぽい赤
はっきりとした赤が好きな人は赤色(銅赤)を、柔らかい感じが好みの方は金赤をオススメします。
江戸切子は濃い色ほどカットが難しいと言われています。
特に黒が最たるもので、職人の技量が問われる、職人泣かせの色となります。
理由は、ガラスの外側にガイド線を引いて、ライトで照らしながらカットしますが、
色が濃いとガイド線が透けにくく、カットの難易度が上がるのです。
黒色の切子はモノトーンでシンプルに見えますが、職人の技術が詰まった色なんです。
江戸切子のグラスにも形がいくつかあります。楽しみたいお酒に合うグラスを選ぶと良いでしょう。
・サイズ:120ml ~180ml位のサイズで、氷にお酒を注ぐのに使うグラスです。
・お酒:ウィスキー、梅酒、焼酎など
・サイズ:200ml位で、香りを楽しむのに適したグラスです。
・お酒:ワイン、ソフトドリンク、水
・サイズ:240ml前後。大きいものだと300ml以上のグラスです。
・お酒:ハイボール、ジン・トニック、ソフトドリンク
・サイズ:お猪口は1口で飲み干せるサイズで30ml〜45ml、ぐい吞みは2口以上で50ml〜180mlとサイズに幅があります。
・お酒:日本酒
素材にはソーダガラスと、クリスタルガラスの2種類があります。
一般的なガラス製品にはソーダガラスが使われています。
それぞれに特徴がありますので、詳しく見てみましょう。
原料に炭酸ナトリウムを使っている為、「ソーダガラス」と呼ばれています。
・特徴:ソーダガラスは透明度が高く、硬くて軽いガラスです。
・用途:窓ガラス、ビン、食器等
輝きや加工のしやすさのため、鉛が入っており、以前は「鉛ガラス」とも呼ばれていました。
・特徴:クリスタルガラスは光の屈折率が高く光沢感があり、重みがあります。軽く叩くと金属音のような響きで、心地よい音がします。
・用途:高級食器、装飾品、バカラなど
江戸切子は高価なものなので、取り扱いは気になりますよね?
間違って傷をつけたくないですし、ひびが入ったり、割れたりすると目も当てられません。
ここでは、江戸切子のと扱いに関する注意点をご紹介します。
熱湯(100℃)を直接注ぐと割れてしまう可能性があります。
お湯割りなど、50℃程度であれば割れることはありません。お湯割りを作る場合は、熱いお湯の場合は一旦他の容器で冷ましてから注ぐようにしましょう。
因みに、薩摩切子は厚みがある分、内側と外側で熱の違いができやすく、体積差が出来て割れやすいので、特に注意しましょう。
電子レンジは部分的に120℃を超えることがあるので、割れてしまう可能性が高いです。
電子レンジで江戸切子を使用するのはやめましょう。
但し、耐熱対応の江戸切子の場合は、その限りではありません。
食洗器は、一般的には洗浄温度が60℃〜70℃、すすぎ温度が70℃〜80℃になります。
食洗器の注意事項に「クリスタルガラスNG、カットグラスNG」などの記載がされている場合もあります。
記載が無い場合でも高温のお湯で洗うことになる為、食洗器は使わないようにしましょう。
中性洗剤を使って、スポンジや亀の子たわしで洗ってください。
但し、金たわしは使用NGです。
切れ込み部分は、歯ブラシなどを使うと綺麗に洗うことができます。
傷つく可能性があるので、重ねて収納するのは避けましょう。
どうしても重ねて収納する場合は、間にナプキンや布を挟んで、傷がつくのを防いで下さい。
如何だったでしょうか?
江戸切子には、文様以外にも色の違いやガラスの種類などの組み合わせで、様々な種類が存在することがお分かりいただけと思います。
江戸切子のグラスは高価ですが、この記事を読んで、自分好みの江戸切子に出会る一助になると嬉しいです。