秀衡塗

秀衡塗(ひでひらぬり)|岩手・平泉の伝統的工芸漆器

平安時代の華やかな奥州藤原文化を今に伝える、岩手県平泉町の伝統工芸品「秀衡塗」。その名は、平安末期に黄金文化を築いた奥州藤原氏三代当主・藤原秀衡に由来します。

秀衡塗の魅力は、漆の深い黒や朱に、金箔の華やかな文様が浮かび上がる豪奢な美しさです。菱形や雲形の金箔模様は、気品にあふれながらも温かみがあり、食卓や空間に優雅な彩りを添えます。天然漆を幾度も塗り重ねて仕上げられた器は、丈夫で長く使えるうえ、年月とともに艶を増し、手になじむ質感へと変化していきます。

制作はすべて職人の手仕事によるものです。下地作りから漆塗り、金箔貼り、絵付けに至るまで、繊細で丹念な工程を経て生まれる逸品は、使うたびにその価値を実感できます。お椀や重箱、茶器など日常で活躍する器から、飾り皿や花器のような美術工芸品まで幅広く展開されており、特別なお祝いの贈り物や海外へのお土産としても高く評価されています。

秀衡塗は、単なる器としての美しさを超え、奥州藤原氏の歴史と文化を現代に伝える、格式ある日本の伝統工芸品です。手にした瞬間から、平安の雅が暮らしの中に息づきます。

秀衡塗